新しい働き方

中小企業のためのウェブ活用の相談相手

いまやウェブ活用は小さな企業や小さなお店にとっても必須になりました。
インターネット上で情報を発信していなかったら、消費者がお店選びをするときの選択肢に入ることができません。一方、情報を発信していたとしても、同じような商品・サービスを提供するお店や会社はたくさんあります。それらと比較されたうえで、「ここがいい!」と思ってもらえなければ選んでもらうことは出来ません。
しかし、小さな企業やお店では、ウェブサイトやSNSで情報を発信する人手もスキルもありません。それでは、どうすればよいのでしょうか。
この課題を解決するのがウェブコンサルタントとウェブアドバイザーです。ウェブコンサルタントとウェブアドバイザーの仕事を一言でいえば、インターネット上で「選ばれる理由」を明らかにすること。そして、それをウェブ上で発見してもらえるように発信することです。もう少し詳しくご説明しましょう。

ウェブコンサルタント、ウェブアドバイザーの仕事

ウェブの歴史 ~作るだけで成果が出た2000年代初期~

日本のウェブの歴史のはじまりは1995年くらいです。このころは、大学などの研究機関や、先進的な企業が新しい取り組み、新しい事業としてウェブサイトを作り始めていました。普通の会社がウェブサイトを作るようになったのは2000年ごろです。
このころは、ウェブサイトを作るならウェブ制作会社に頼むのが当たり前でした。そして、ウェブサイトを作るだけで、企業ならお問い合わせがあり、ネットショップなら商品が売れました。ウェブサイトを作るだけで成果があったのです。なぜなら、当時はまだウェブサイトを持っている企業が少なかったからです。選択肢が少ないため、消費者は限られた選択肢であるウェブサイトに殺到しました。ウェブサイトを持っていることが「選ばれる理由」だったのです。

ウェブの歴史 ~競争が激化、選ばれる理由が必要に~

しかし、2010年ごろには状況が変わります。ウェブサイトを持つことの効果を知った企業が続々とウェブサイトを作るようになりました。大企業であれば立派なウェブサイトを持っているのは当たり前。小さな会社でも、会社概要を紹介するくらいの簡単なウェブサイトを持つようになりました。
消費者の選択肢が増えました。売り手の企業から見ると、選ばれることが難しくなった、ということです。その後も消費者の選択肢は増え続け、ウェブサイトを見てもらうことさえ難しくなってきました。さらには、SNSなどのいわゆるUGC※1がウェブ上のコンテンツの主流になってきました。発信するだけでなく、話題にしてもらうことも必要です。そのためには、自社の強みを明らかにし、ウェブ上で消費者に理解してもらえる形で紹介できなくてはなりません。
これをやろうとすると、競合と比較する、お客様の求めていることを掘り下げて考えるなど、いろいろな調査・分析が必要になります。その上で、「選ばれる理由」を明らかにし、発信する方法を考えるのです。これはウェブ専門家の仕事というよりも、いわゆる事業戦略を立案する仕事です。小企業にも戦略が求められるということです。
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※1 UGC … UGC (User Generated Contents) の略。生産者となる企業ではなく、一般ユーザーによって制作・生成されたコンテンツのこと。 SNSに投稿された写真や動画、ECサイトのレビューなど、いわば「生活者のリアルな声」から成り立つ作品。

ウェブデザイナーやウェブマーケッターと何が違うの?

ウェブコンサルタント、ウェブアドバイザーは企業の経営レベルでウェブ活用を考える仕事です。それに対して、ウェブマーケッターは、お客様や商品が決まっている状況で、集客やウェブサイトを改善するのが主な仕事です。そして、実際にウェブサイトを作るのはウェブデザイナーです。
違いを一言でいうなら、ウェブコンサルタントやウェブアドバイザーの仕事は「経営者の仕事」のサポートです。それに対して、ウェブマーケッターやウェブデザイナーの仕事は「担当者」の仕事です。ゼネラリストとスペシャリストの違いとも言えます。
そのため、ウェブコンサルタント、ウェブアドバイザーはウェブの勉強だけをしていればよいわけではありません。いえ、むしろ経営の勉強の方が主で、ウェブやデザインの勉強はそこまで重要ではありません。経営レベルでウェブのことを考える、これがウェブコンサルタント、ウェブアドバイザーの仕事です。

ウェブコンサルタントとウェブアドバイザーの違い

それでは、ウェブコンサルタントとウェブアドバイザーの違いは何でしょうか。大きく異なるのは、クライアントの規模です。ウェブアドバイザーはウェブコンサルタントの中でも、特に小規模事業者を支援する仕事と定義しています。ウェブコンサルタントとなると契約費用も数百万円から、となるのが普通で、小企業ではなかなか手が届きません。
そこで、ウェブアドバイザーという新しいポジションが生まれました。ウェブアドバイザーは、個人レベルでウェブコンサルティングをする仕事です。特に、自宅を仕事場として働いているフリーランサーの働き方として広まっています。ウェブアドバイザーの仕事と違うのは、まずは費用が安いこと。個人なので間接コストも少ないですし、自宅を仕事場としているので、コストが少なく済みます。子育て中の方、介護をしている方、外出が難しい障害者の方など、何らかのやむを得ない事情があって、在宅ワークをしたい方にピッタリの働き方です。在宅ワークはパートで働く以上に給料が安いのが一般的ですが、ウェブアドバイザーの場合、サラリーマンと同等の収入が得られるのが魅力の一つです。ウェブアドバイザーはフリーランサーですから、すべての責任は自分で取らなくてはなりませんし、確定申告なども必要です。雇われて働く在宅ワークとは違うので、覚悟をもって働く必要があります。
また、一人で広く浅く様々な分野をこなす必要がありますから、細かい分野ごとの専門性はそこまで高くありません。それでも、一通りの理解をしていて、さらにはいざという時には協会を通じて専門家への相談や支援を依頼できるように体制を整えています。
 
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ハイパーローカルマーケティングという新しい考え方

ウェブアドバイザーについて説明する上で、もう一つ重要なポイントがあります。それはハイパーローカルマーケティングという考え方です。
ハイパーローカルとは、歩いてランチに行くくらいの範囲の近所のことを指します。ウェブサイトで情報発信するときには、通販やBtoBサービスなら通常日本全国の企業を見込み客と考えますし、来店型のビジネスでも、例えば東京都内にあれば東京都内の人には来店してもらえる可能性を考えるでしょう。しかし、広い範囲からお客さんを誘導するには、それだけ明確な特徴づけが必要です。例えば、話題の高級フレンチであれば電車に乗って食べに行く人はいますが、街の中華料理屋ではそこまで特徴的な料理を提供するのは難しいでしょう。それに、主な顧客である地元の人たちが望んでいるのはそこまで特徴的な料理ではないのです。つまり、近所にお住まいの方やお勤めの方を対象としているビジネスであれば、遠くからの来店よりもご近所さんに来店してもらうことを中心にウェブを活用しよう、という考え方です。
言い方を変えると、ウェブやSNSが持ついつでもリアルタイムに情報発信できる、という強みと、リアルなお店があり、近くなので、すぐに足を運んでもらえる、という強みの両方を活かそう、というのがハイパーローカルという考え方です。
具体的には、ソーシャルメディアで日々のランチ情報を発信するとか、お店のことを知ってもらうためにお店の前にウェブサイトにつながるQRコードを張り出してフォローしてもらうとか、ネットとリアルと組み合わせることで従来にないプロモーションが可能です。また、SNS上でローカルエリアにお住まいの方、お勤めの方のコミュニティというのがたくさんあります。こういうコミュニティとの連携も効果的です。
ウェブアドバイザーはこのハイパーローカルという考え方にのっとって、地元の商店街の振興をするのに適しています。日々の運用を支援しようと思うと、近くに住んでいることが大きなメリットになりますし、自分自身が生活者として、住まい近くの情報はよく知っています。わざわざ調査しなくても、「イタリアンならあそことあそこが競合だな」というようなイメージもわきます。
スマートフォンの普及によって、位置情報をベースにしたマーケティングが可能になってきました。Googleでも、飲食店などを探して検索をすると、TOPに地図情報が表示されます。これは位置情報から近所のお店を紹介することができるようになったためです。デリバリーやテイクアウトが普及したことからも、ますますローカル×ウェブという市場は拡大していく見込みです。