上流を学んだことで築けた独自の価値 ビジュアルではなく戦略からの提案が 信頼性を高め単価を改善、目指す場所へと前進

戦略から関わるウェブイノベーションアドバイザーとして活躍する沼田薫さん。プライベートは青森在住、男児3人のママです。結婚を機に勤めていた会社を退職、転勤族のご主人と共にどこへでも身軽に移動できるようにと場所を選ばないウェブの仕事へとキャリアチェンジ。第一子出産後、システム会社へ時短勤務のかたわら、デジハリ(デジタルハリウッド専門スクール)に通い、ウェブ制作技術を取得。思い立ったらすぐ動くという行動派の沼田さんは決断がとにかく早い。デジハリ卒業後の2017年には独立、フリーランスに転身。しかし、自身の仕事への向き合い方やクライアントとの関係性に疑問を感じ、答えを模索する中、2020年WebCAへ入会。場数を踏んでその都度吸収、コツコツ積み上げタイプとの言葉どおり、目の前の課題一つひとつに取り組み、学びを積み重ねるうち2022年上級ウェブアドバイザー認定、2023年にはAB3Cファシリテーター認定を受ける。その後、2023年株式会社エフディークリエイトを設立。社名としたFD=ファンデーションには、下地、土台をつくるという思いが込められ、企業の土台となる「戦略」部分からのサポートを意味する。

クライアントに言われるがままのウェブ制作・・・メンタル的にも、成果的にも限界

Q.WebCA入会の経緯をお聞かせください。

入会前に一度Facebookで権さん(WebCA代表理事)と村上さん(WebCA理事)にコンタクトをとったのが始まりでした。気になる人がいたらひとまずアタックするんです。デジハリ時代の恩師が権さんと交友があったので信頼もありましたし、ウェブコンサルタントとしてすごい方だというのはすでに知っていたので、メッセージを送って私の現状をお話ししたのが最初でした。
デジハリ卒業後すぐ転勤となったこともあってウェブ制作会社にいた期間は短く、当時の私は、クライアントとのやりとりがまだまだ手探りでした。雰囲気に流され、ただ制作して、納品してという状況で、進行がうまくできない。クライアントの言うとおり、文章や写真も支給されたものをそのまま使っていました。その結果、言われたとおりにはできたけど果たして見る人にとって分かりやすいのだろうか?というサイトで、思うように成果も出ない。とにかく“納品”をゴールにどうにかこうにか収めるといった状況で、クライアントとの関係がうまく構築できていませんでした。やりがいがなくつまらないし、ただ振り回されているだけ……。設計の段取りやゴールの設定、制作前の段階をしっかりコントロールできないと今後もこの状況がずっと続く――そんな思いを抱える中で出合ったのがWebCAです。
戦略を大事にされている権さんのコミュニティで、話を聞いてみると私が一番求めている部分。しかも恩師とも親交のある方、これは間違いないという感覚で即入会でしたね。

学びと刺激、集う人たちとの関わりで意識が変革

Q.WebCAに入って何か変化したことはありますか?

外側だけじゃなく、中身を作れるようになったのが一番の変化ですね。これまでは外側だけのリニューアルで、クライアントのオーダー自体もそうでした。けれど、見た目だけじゃく、もっとユーザーやコンテンツといった中身に目を向けませんか?という話をして、AB3Cを考えるという段階をサービスとして提供するようになったんです。実際、中身をつくることでサイトを見る人の反応が変わり、成果へとつながったことから、クライアント自身の意識変化も感じています。
クライアントとの向き合い方が変わったことで、単価も明らかに変わりました。当初はデザインも制作も全部込みで、一番安いときだと10万円。今は最低でも50万からと単価を上げています。全部込み込みではなく、タスク表という形で工程を分け、「サイト制作」という大項目の中にセットで「戦略」部分が必ずあるという設定です。今はまだその段階ですが、今後、ウェブデザイナーからウェブコンサルタントへと私を見る目が変化していけば、上流工程を第1フェーズとして提案できるようになっていけるんじゃないか?なっていきたい!と思っています。

Q.沼田さんご自身はWebCAの魅力や価値はどこだと思われますか?

私以外にもWebCAで学んだことを実践されている方々がたくさんいるというのが大きいですね。WebCAでの学びを活かしてどう変わったか、どこがポイントになったか、実例やリアルな声を常に浴びているので、自然と私自身のマインドも変化しました。多くの戦略に触れる機会が増えたことで、今では自信をもってクライアントに提案しています。
会員さんとの交流という点では、特にウェブ上での読書会と定例会は私にとって貴重な時間です。移りゆく時代の中で、それぞれ動かない熱い信念・想いの大切な部分と、常に動くトレンドに合わせて変化する部分を併せもつ会員さんたちとの交流の場。人間らしさを感じつつ、社会変化を敏感にキャッチする会員さんとの生きた情報の交換もありつつという時間はすごく価値あるものです。
あとはAB3Cに付随する競合調査のワークや、動画化されているコンテンツがたっぷり用意されていて、実践の土台となる部分がしっかりサポートされているのもいいなと思っています。

Q.上級ウェブアドバイザー取得されていますが、資格取得の面からはどうでしょうか?

学ぶうちに資格取得の条件がそろったので、チャレンジしようというのがきっかけでした。
カリキュラムの中では特に競合調査の講座で理解を深める機会があったのはすごく良かったし、これからさらに活かせるなと感じました。資格が絶対必要なわけではないので、資格自体はあくまで自分の決意という意識が強いかなと思います。今後自分がどういうポジションで仕事をしていくかの決意の表れであり、クライアントからの見え方も変わります。

クライアントからの信頼 自身で仕事がコントロールできるように

 

Q.現在はどのような形で案件獲得や集客をされていますか?

これまでのつながりでのお仕事や、サイトからの問い合わせもあります。今は、制作の入り口で入って、その間で関係性を密にして、納品後も運用しつつ、アドバイスさせてもらってといった形。長いお付き合いのレギュラークライアントさんが少しずつ積み上がってきている感じです。とはいえ、子ども3人なので無理せず、コツコツと。信頼いただいているおかげで、自分でスケジュールを調整しながら進められるのはありがたいです。
フォーマット化できている作業などはできるだけ外注さんにお願いするとか、社内に人を増やすとか、そろそろ考えないといけない時期なのかなというのが現状です。

Q.沼田さんご自身の守備範囲はどのあたりでしょう?

全体の構成からディレクションをメインに担当しています。デザイン、コーディングをしてきた経験を活かしパートナーであるデザイナーさんとコーダーさんの協力いただきながら制作・運用をしています。
好きなのはワイヤーを書いて文章を考えるあたりですかね。妄想がすごく膨らでいくのが楽しくて。最近は、チームの体制作りに試行錯誤しています。デザイナーさん、コーダーさん、SNS周りの更新をサポートしてくれる方々と、少しずつチームワークを育んでいるところです。チームだからこそできることがあると思うので。できる限り相手を信じて、調整があればあとからする。それぞれの特性や得意分野を見極めながら、仕事の時間やスタイルも尊重しながら、といった形です。人同士や案件との相性もありますしね。最初は互いのことは知らないのが当たり前、仕事を通して関係性を少しずつ積み重ねながら、互いにとっていいものができるようにと考えています。

Q.お客さまからの評価はいかがでしょうか?

安心感をもっていただいているようです。相談すれば解決する、ウェブに関する質問は1話せば10返してくれると言っていただくこともあり、たまにやりすぎたなと思っています(笑)。

土台づくりから成果の見届けまで 楽しいと思える理想の仕事を目指して

Q.今後のお仕事の方向性はどのようにお考えですか?

キャリアを積んでいく中で、制作よりももっと戦略部分にフォーカスしていきたいです。社名のとおり“土台”となる部分の強化。今はまだ“制作の人”というイメージが強くて、そこからの転換が難しいんですが、自分自身のリブランディングにも取り組んでいきたい。それとともに納品して終わりじゃなく、成果もちゃんと見届けられるよう、伴走型が理想です。だからこそ、そんなサービス設計や見せ方をしていきたいと思っています。
今後はカスタマージャーニーを描けるくらいの案件にも挑戦してみたいです。地元ではまだ戦略というよりもっと前の段階で。そもそもサイトをもっていなかったり、もっていても昭和的なサイトだったりで、ビジュアルで差がつけば大丈夫みたいなクライアントが多いのが現状です。とりあえずサイトができればいい、さらっと競合調査するだけでけっこういい線いけるみたいな。戦略、戦略といっても、地元ではまだピンときていない印象です。私としては、ぬるま湯につかっているようで焦りを感じたり、もう少し刺激がほしいなと思ってたりで、WebCAの定例会で皆さんから刺激をいただいて、自分を焚きつけています。

Q.今後は社員さんの雇用などもお考えですか?

まだ希望ではありますが、いずれはと考えています。社員ならではの良さというか、一体感みないたものがあるかなと感じていて。社員として後進を育てていけたらとも思います。外注さんとは信頼関係があるけれど、外注さんには手持ちの他案件もありますし、近づき切れない細かな領域もあるのかなと。そういう意味で社員なら愛情を独り占めというか(笑)。ちょっと憧れます。

抱えていた不安が希望に 新しい学びが次へとつながる

Q.沼田さんがWebCAをすすめるとしたら、どんな方におすすめしますか?

私と同じようなディレクターのポジションの人や、今のままではいけないと気づいているデザイナーさんにはおすすめしたいなと思います。ノーコードが出てきて次のステージにいかないといけないなと気づいている方にはぴったりです。
私自身が制作だけを続けていくことに不安を感じていたし、クライアントの成果への貢献にも限界を感じていましたが、上流を学んだことで仕事のスタンスや単価までもが大きく変わったので、自信をもっておすすめします。

沼田薫さんのサイトはこちら